マレーシアのガイドブックに必ず載っている金ピカのバカでかい像がランドマークのバトゥ洞窟。今さらながらに行ってきたのでちょっとまとめたいと思います。

バトゥ洞窟とは
まず、マレーシアにいるインド系住民の多くは、19世紀から20世紀初頭にかけて、大英帝国の植民地政策のもとで労働力として連れてこられたのが起源です。その多くは南インドのタミル系インド人。なので、マレーシアでヒンドゥーというと、多くの場合はタミル系を指します。
タミル系のヒンドゥー教徒の間では、シヴァ神の息子で戦士の神ムルガン(ガネーシャの弟)が特に厚く信仰されています。バトゥ洞窟は、そのムルガンを祀るための聖地です。金ピカのランドマーク像はムルガン神です。高さ42.7m、2006年に完成しました。
始まりは19世紀の終わり。タミル系コミュニティの有力者だった商人が「この洞窟の入口、ムルガン様の槍(ヴェル)の先っぽに形が似てる」と目をつけ、1891年に洞窟の中に寺院を建てたのが始まりのようです。
272段のカラフルな階段を登る

ムルガン神の像を横目に、カラフルな272段の階段を登っていきます。
これがなかなかの急勾配です。
ここでは人慣れした猿たちが、観光客の手元に何か取れるものはないかと目を光らせています。これみよがしにペットボトルのファンタを飲んでる猿もいて注目を集めていました。猿、炭酸とか大丈夫なんか?

洞窟の中
洞窟の中ではムルガン神が祀られています。
石灰岩の山にぽっかり開いた巨大な洞窟で、光が差し込みなかなか神秘的です。

帰ろうとすると、空の鉄のバケツを持ったおじさんが話しかけてきます。
「これを下まで持っていってくれないか」と。
聞けば、これを運ぶと神のご加護があるとのこと。
引き受けると、インドの人がよくおでこにつけている赤い粉(クンクム)をつけてもらえました。
上まで持ってきた人はどこへ行った、とは思いましたが、ものは試しということで快諾。
報酬の神のご加護(赤い粉)を前払いでいただきましたが、つけるタイミングが分からずいつの間にかご加護、紛失。
おっちゃんごめん!
カラフル階段コバナシ

2018年、12年に一度の大祭に合わせた改修で、この272段の階段が極彩色のレインボーカラーに塗り替えられました。このカラフル階段には面白いエピソードがあります。
実はバトゥ洞窟は国家遺産に指定されているにもかかわらず、国からの維持費の補助はなく、寺院側が自腹で維持しています。しかも入場は無料。礼拝の場なので、信者から入場料を取るわけにはいかないんですね。
となると、維持費を稼ぐには人に来てもらって、お賽銭や周辺で落ちるお金を増やすしかない。寺院の会長も「観光客を呼ぶために美化している」と話している様です。
ところが、この塗り替えが国家遺産局に怒られました。
マレーシアには国家遺産法という法律があって、指定された遺産に手を加えるには事前に許可が要ると定められているからです。
それに対してバトゥ洞窟側は、
「維持費を一銭も出さないくせに口だけは出す。それやったら国家遺産なんか外してもらって結構」と言い返し、バチバチの状態に。
となんやかんややってるうちに、カラフルになったバトゥ洞窟はSNSで話題になり、いまや映えスポットとして定番に。国のほうも遺産指定の取り消しについてはすぐにトーンダウンし、指定はそのまま、階段もカラフルなままです。
国内では少数派の宗教が、自分たちの居場所を守るために自腹で頑張って、結果として国とのケンカにも勝ってしまった。ヒンドゥーすごい!!
まとめ
以上、ヒンドゥー教徒(タミル系)の聖地、バトゥ洞窟についてでした。
日本の観光地と違って、ここは今も宗教の現場として脈々と息づいている、生きた信仰の場なんだと感じました。
調べてみると、少数派の宗教が自分たちの場所を守ろうと奮闘する姿が垣間見えて、興味深かった!
